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地球を楽園にする芸術家・増山麗奈のブログ

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画家・ジャーナリスト・映画監督の増山麗奈が社会×アートを取材発信します!

【news】沖縄・レポート

「原発も基地もいらない」沖縄WAPA展、ご来場いただいた皆様、参加してくださったアーティストの皆様のお陰で、無事終了いたしました。

長いですが、忘れないうちにレポートを書きます。
 沖縄長谷寺5周年、ギャラリー開始記念に、私たちとともに、展覧会を開催していただけた事をとてもありがたく考えています。本当にありがとうございました。

ご本尊の前で搬出後の集合写真
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 長谷寺・岡田ご住職との出会いはWAPAで作ろうと奮闘している江戸川区の原爆犠牲者追悼碑設立の時のエピソードを調べていた事がきっかけでした。

写真キャプション/滝野公園にある原爆犠牲者追悼碑
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当時江戸川区の専福寺のご住職だった岡田弘隆さんは、広島で被爆をした銀林美惠子さんが中心となっていた江戸川区在住の被爆者の皆さんの会「親江会」と出会い、追悼碑を作ろうと立ち上がった方です。その追悼碑は現在葛西駅近くの滝野公園ということろにあります。教育者と宗教者と被爆者の方々が一体となり、宗派も政党も超えた平和への祈りを込めて、作られたそうです。

WAPA創設のきっかけとなった“原爆の図”で有名な丸木位里・俊さんが江戸川区の田中石材店の前で、四国から届いた自然石に、鳥の中に親子がいる絵を書き下ろしました。

関係者の皆さんに当時の話を聞いていくと、丸木さんが鳥の中に親子の絵を描いたのはこの追悼碑が始めてで、そのアドバイスをされたのが岡田弘隆ご住職だったそうです。この石碑をきっかけに丸木位里さんと俊さんは生涯鳥と親子の絵を描き続けました。
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丸木美術館の入り口にもこの構図の絵が飾ってあります。画家にとって大きなインスピレーションを与えてくれた岡田ご住職はどんな人なのだろう、そう思って追跡を続けるとびっくりする事をきいたのです。

「ご住職は6年前に沖縄に行った。夢の中で観音様が出てきて、沖縄の戦争犠牲者の方を追悼する為の長谷寺をつくろうと、親戚も繋がりもなにもない沖縄に一人で旅立った。沖縄のガマの上にお寺をつくっているらしい」

 私はたまげました。どんな方なのだろう。そう思って沖縄を訪ねる事にしたのです。最初私はガマの上のお寺と聞いて、とてもボロボロは古いお寺(失礼!)を想像していました。しかし、沖縄に訪れるとびっくり!!!長谷寺はお城のようなぴっかぴかの豪邸だったのです。聞くと城間宝石という国際通りに大きな店舗を構えていた沖縄一の宝石屋の社長のご自宅を買い取って改装して建てたお寺だとか。しかも始めて城間社長にあった日に「家を使ってお寺をつくればいいじゃない」と言われたそうです。
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 大理石の床にシャンデリアがきらびやかに光る中、京都の松本明慶さんという大仏師が作った像髙4.5メートルの十一面観世音菩薩立像が堂々とたっています。奈良県桜井市にある総本山長谷寺のご本尊様のお姿を写したものなのだとか。11日間の滞在中、毎朝チャーミングに笑ってくれたり、ちょっと不機嫌そうだったりご本尊のお顔が少しずつ何かを語りかけてくれるような気がしました。



 しかも長谷寺を建ててから気がついたそうですが、長谷寺のある糸満市潮平では、沖縄の地上戦で潮平壕に560名もの人々が戦火を逃れて暮らしていましたが、560名のうち誰一人として死なずに過ごしたそうです。地元の方々は地元の土地の上様を「潮平権現」として大事にまつっているとのこと。潮平の壕には兵隊がおらず、自決などもなかったとか。沖縄の地上戦というと親が子を殺したり、日本兵が地元の方を殺したり、家族が自決するなど本当に残虐な話を聞きますが、潮平では人々が助け合い食べ物や水を分け合い過ごしていたんだな、と思うととてもすばらしい事だと思います。「沖縄戦の教訓は兵隊と一緒に行動しない事」と岡田ご住職は言います。
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糸満市からすぐ近くには3万5千人が戦火を逃れて南下したのちに、亡くなってしまった魂魄の塔があります。美しい海の目の前で想像を絶する沖縄の戦争があったんだということを伝えています。「魂魄の塔の追悼碑にはいつのまにか「3万5千人の無名戦士」という書き方がされているけれど、ほんとうは逃げてきた人々は民間人であって戦士ではなかった。」ということをご住職は教えてくれました。少しずつ記憶は兵隊に都合の良いように書き換えられていく、という事を私たちは気にしていかなければならないなと思いました。
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また沖縄菩提樹苑にも案内していただきました。
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ご住職のお友達の”節ちゃんのシーサー”が菩提樹苑前に置いていました。so cute!

 ところでこの岡田ご住職はもう一つの顔があります。弁護士としても活躍されています。福島第一原発の5号機6号機の設置についての裁判で反対派の弁護団として裁判に参加されていたのです。だからご住職は原発事故の怖さを誰も誰よりも予見していたのかもしれません。3月18日、東京江戸川区のお寺に「東京も危険地域になるでしょう。西に避難してください。沖縄にきていただいてもけっこうです」と張り紙をはったそうです。



 今原発事故が置き、国はまるでわざと汚染を拡大し、人々を被曝させているように思います。そんな中、潮平権現が今日の目に見えない核戦争から人々を守ってくださるような、予感がしました。なんだか長谷寺がホテルルワンダになるような気がしてきました(笑)。



 会期中、地元の農家さんと、出展をしてくださった上原文子サンが中心となって避難ママパパに地元の安全で美味しいお野菜を振る舞ってくれる会「ヌチグスイ料理交流会」が開催されました。温かいお料理とても美味しかったです。主催前日に、地元で活動されている方々より、沖縄の人々の本土への思いを教えていただく機会もありました。
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(撮影/リュウエイ))
教育現場にお金が回されない、「沖縄の人と結婚したらどうしよう」と目の前で言われた、など差別があるということを改めて教えていただきました。

長谷寺もヌチグスイ企画にカンパしてくださいました。

基地を押し付けてきた本土の人間と沖縄の地元の方々とはなかなか超えられない難しい壁があるんだな、と感じました。

すぐには理解できないとしても、本土で生きてきた人間として、どんな負担を沖縄の方々にしいらせてきてしまったのか、受け止め考えねばならないな、と思いました。
避難してこられた方々と地元の方々との間に温かい輪を作れますように。平和への祈りが届きますように。
(撮影/↓リュウエイ)

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全ての子どもたちが愛のある食をたべれて、安心して過ごせますように。
しかし今日本では被災地の農家の方々は安く買いたたかれ、子どもたちの給食に率先して汚染牛や汚染米が使われるという悪循環があるように思います。



 ところで今回沖縄の滞在で奮闘してくれたのはなんと言ってもノブキソウイチロウさんです。毎日お台所で美味しいお料理を作ってくれました。そして外国人記者クラブで行われた竹野内真理さんが企画するヒバクシャたちの記者会見も取材してくれて、短期間の間に映像作品を作ってくれました。基地問題に関する動画もあり、展覧会を引締めてくれました。
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 重くなりがちな雰囲気を和らげてくれたのはバリおさんの優しいアヒルのオブジェでした。原色の色使いで和まされました。

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 小澤弘邦さんのMOTHERという花のオブジェも、柔らかい雰囲気を会場に与えてくれました。 

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 安藤ニキさんの大作「現代の天使」は、圧倒的な存在感でした。お父さんである安藤和雄さんの友人が何人も会場に訪れてくれました。ご住職は「去年書いた作品なのに東日本震災を予見してる」とお客さんにいつも説明していましたよ。

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ポストカードのビジュアルにも使わせていただいた村田訓吉さんの平成救世観音は、ご本尊様と連動してコンセプチャルアートみたいに見えました。


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 脱原発ポスター展の皆様には本当に感謝します。具体的なイメージで反核を伝える事が出来ました。ありがとうございました。


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 倉本逸馬さんの作品は読売新聞の切り抜きで日の丸を作るというものですが、読売新聞正力松太郎が原発を日本に輸入して核の平和利用キャンペーンを紙面を使って行った事から今日の原発中毒国が始まったことを、ニヒルに表現しているようでもあり、国家というものの薄っぺらさを表現しているようにも見えました。
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 アフリカ人画家のYOULさんは「原子力より原始力」といったような人間の本能的な野生を奮い立たせるような鮮やかな絵を展示してくれました。

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ユールサンを紹介してくださった関西の友人、稲垣利江子さんにもあたらめて感謝をお伝えしたいです。

 ユールさんの奥様ジャバテ美奈さんは、アフリカンダンスA
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mina(アミナ)として西アフリカの伝統舞踏ダンスを生徒さんと披露してくださいました。

本当にありがとうございました。ご本尊さんも後ろでノリノリで踊ってたのを私は見逃しませんでした!(嘘)



 また岡田ご住職は書の作品を出してくれました。
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上原文子さんの裂き織りもすばらしかったです。↓上原サンは沖縄県糸満市で、自然の染め物を流行らせた方なのだそうです。
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 私増山麗奈は、南部の戦地跡では母が自分の子を殺してしまった戦時中のお母さんと、避難してくる直前の追い詰められたお母さん達の姿を重ねて絵を描きました。
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 搬入搬出をお手伝いしてくださった地元の皆さん、WAPAの志水さんと清水さん、皆さん本当にありがとうございました。



WAPA代表村田訓吉の平成救世観音の作品、増山麗奈の作品、そして丸木位里.俊夫妻の「原爆の図」レプリカ(増山と小澤が昨年のNPTに合わせニューヨークの国連本部に持っていったもの)は、世界平和が実現するまで、長谷寺で特別展示をしていただく事になりました。
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ちなみに、増山は滞在中にご住職より「増山サン、これからは母子像は子ども二人を書きなさい。あんた子ども二人いるんだから。」とアイデアを頂きハイビスカスと母子を会わせた「ハイビスカス(母子)観音」像を制作して長谷寺に寄贈させていただきました。
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観音さまのモデルは、増山の高校時代の唐笠先輩(偶然糸満に避難してきていたのです!)

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本当に関わってくださった皆さんありがとうございました。ピアノのコンサートを披露してくださった池辺幸恵さん、内部被曝についてのお話をしてくださった竹野内真理さんもありがとうございました。

ご住職の次男坊のリュウエイさんにもとてもお世話になりました。

停戦量被曝の会の谷中真美子さんにも、関連企画のパレードや、戦地ツアー参加など様々におせわになりました。

ご住職の「平和でないとアートやコンサートを楽しめない。だから、芸術は平和活動なんだ」という言葉が耳に残っています。長谷寺ギャラリーの今後の発展をお祈りしています。


毎晩幸せな団らん、たのしかったです。なんとのびのびしすぎたのか一緒に連れて行った増山の次女アイシャは沖縄滞在中の11日間で一センチ身長が伸びていました!恐るべし、沖縄・潮平権現パワー!



動物も植物も、子どもたちもすくすく育つ未来をつくるために、これからもWAPAがんばりましょう!

2011/12/11琉球新報「放射能から子ども守ろう」避難の母ら那覇でパレード


”イラクやアメリカなどで平和活動を続けてきた画家の増山麗奈サンは「イラクでは劣化ウラン弾の影響でたくさんの子どもたちが白血病になっている」と指摘。沖縄の米軍基地からイラクへ派兵された事もふまえ「基地と原発の問題は繋がっている」と訴えた”

2011/12/10沖縄タイムス 原発・基地ノー11人が52点出展 長谷寺で美術展

2011年12/11沖縄タイムス 県内も放射線検査必要 低線量被曝者の会が訴え
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ps 低線量被爆者の谷中真美子さんや、竹野内真理さんらといっしょに、12/2沖縄県庁へも行ってきました。


沖縄県に福島産の米をたくさん使ってほしいと福島県の松本副知事が来た事に関してのアピールでした。内部被曝の怖さや、沖縄でも放射線検査を行ってほしいとのことを県庁の畜産課の担当者に伝えました。安全性ばかり訴えて農家の方と対立してしまうのは行けないと思うのですがこのまま福島の汚染地帯で農業を続ける事そのものが被曝労働だと思います。
農家の方々も、安全な地へ避難して農業を続けていただければと考えています。買って応援・食べて応援しているのは農家ではなく東電を応援しているという事を忘れないでください。本来はもっときちんと測定し、安全なもののみ流通させればこんなに混乱させなかったはず。汚染されたものは全て東電が買い取るべき。
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また、補足

糸満のコミュニティラジオFMたまん新井稲子さんの「新・医食同源」に出演させていただきました。
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by renaart | 2011-12-13 18:52

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