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地球を楽園にする芸術家・増山麗奈のブログ

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画家・ジャーナリスト・映画監督の増山麗奈が社会×アートを取材発信します!

リトルバーズについてのその後の議論

コメント欄で、先日お話ししたリトルバーズ(綿井健陽さんの撮影したイラクについての映画)
についてなかなか面白い意見を頂いたので、それに対しての返事を描こうとしたら,長くなりすぎてコメント欄では収まりきれなくなったので、こちらで。
非常に面白い問題を含んだ議論であると思うので。痴話げんかは家で、とか言わないで読んでくださいな。

「シバレイさんのコメント」(シバさん自身も戦時下のイラクの取材を続けているジャーナリストである。)   
俺は同業者として綿井さんはいい仕事しているなぁと思うんだけどね。
イラク報道って、結構「どこどこでテロがありました」てなのばっかりじゃん。戦争/占領の被害者からの報道ってかなり少ないと思う。それに日本の人ってすぐ「かたよっている!」とか言うけど、自分自身が加害者側に偏っているかもしれない、ということをあまり自覚していないんだよね。だから、実際の戦地に足を運んだ綿井さんや俺とかが一般の意識と離れていて当たり前(麗奈画伯は本当の意味で戦場としてのイラクは知らないだろう?)。まず事実を突きつける必要はあると思うよ。・・・って実は俺まだ「リトル・バード」観ていないんだけどさ。おそまつでした。
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「以上のコメントについての増山麗奈の反論」

私も綿井さんの事は尊敬する所多いよ。
まず命を賭けて撮影したものすごく貴重な映像であると言う事、クラスター爆弾の被害者のことを報道するということ、そしてその被害者を一人一人個別に一年間も追い続けると言う執念。とても意味のある行為だと思う。おそらくこの映画を見て,衝撃を受け、自分の人生を変えた人もいるのではないかと思う。後、リトルバードが多くの映画館にチラシを配布していたり,ちゃんとプロモーションをして、それなりの動員数を誇っていると言う事も凄い事と思う。(実際私も興味があって見に行った。いろんな所から噂も聞いていた)
自主公開みたいな反戦映画は多いからね。
それは綿井さんがニュース23や報道ステーションに出演していて、ネームバリューがあると言う事とも関係があるのだろう。
しかしだ。私は一観客として映画を見に行ったわけだ。私もイラクの実際の戦場としての姿は見ていないが、映画を見る多くの客は見ていないのだ。
全くの戦場素人なの。
それは芸術の世界で絵を書いている人たちが見る側を「素人」と言って切り捨てる事によって、市場を狭くして、技術の甘さを作り出す構造とも似ている。
全ての製品は最終的には素人の手に渡る。そこで善し悪しを判断されるのだ。
ニッポンの素人の冷たさを甘く見てはいけないぞ。
私も冷たい。しかもイラクでの傷ついた病院での人たちの映像や写真をは、何度も講演会やテレビ、雑誌、デモなどで見ているので実はその事実に対しての感情が麻痺している。それは人としてどうかと思う。しかしこの感覚の麻痺は自分だけでなく、おそらく多くの情報社会に生きている人たちが持っている感覚ではないだろうか。
そしてそれがシバさんが言う「視聴者が加害者側に偏っている」と言う状況を作り出している。
では、ものを発信する立場として私達が世界を変える為に出来る一番有効なことは「加害者側に偏っている人たちに届く言葉(+届くプロモーションの仕方)で、彼らが居る場所の足場を疑問視させるようなもの」を作る事ではないだろうか。(すんごい難しい!!!)

人が作ったものを見る時に、私は反戦活動家である前に、一人のミーハーな素人としてそれを鑑賞したい。(同時に自分が作ったものに対しても「立派ですね〜。」より「おもしろいですね」「すごいかっこいいです。」「なんかわかんないけど買いたい」と言われるほうがうれしい。むろん「なんかわかんないけどものすごくきらい」ともよく言われる。むしろその方が反応としては多い。つーか大多数の人は私の事すら知らない。)
私は映画の内容を正しい正しくない通り越して、「おもしろいかどうか」「好きか嫌いか」と言う側面で判断したい。思想的に同じ背景を持った人の作品に対してもだ。
それが普遍的な判断でない事も解っている。
しかし私は自分が感じた事しか言えない。それを人に押し付けようとも思わないが。
この問題はいろいろな大事な側面を抱えていると思う。
「反戦のゆるさ」と言うべき同胞を守るような仲間意識に、私自身も守られて仕事を頂いたり、友人たちに支えてもらっている。それにはとても感謝している。
しかしそのゆるさとその何となくある居心地の良さが「あたしも反戦気分ではない人たちに届かない言葉」を作ってしまう原因でもあり、「気がつくとまわり反戦のひとばっかりじゃん」と言う状況に陥っている原因、「いまいちあたしが売れない」理由の一部でもある。それはとても危険な事だ。だからもう少し自分の技を鍛錬しないといけないと感じている。
市場拡大しとかないと、やばいって!

同じドキュメンタリー映画と言うジャンルにくくられるであろう、マイケルムーアの「ロジャー&ミー」は何度も言うが非常に名作であったと思う。
しかしそれより作品の質が劣っていると私が感じる華氏911の方が動員数は格段に多いと言う事もまた事実だ。
はやってりゃいいものだ、とも思わない。ロジャー&ミーの中で,マイケルムーアは街の資産家や、ゼネラルモーター社の宣伝部長などにもインタビューをしていてる。彼らにある程度自由に喋らせる事で本音を引き出す技は巧みだと思う。それらの視点がある事がより映画を立体的に見せている。そして被害者と加害者の視点が全くと言っていいほど交差していない事が絶望的な状況を表している。
しかしその宣伝部長も最後のシーンでその後解雇されたと言うナレーションがつく。問題の複雑さを表すシーンだ。

私もそのように多角的な視野を含んだ作品を作りたいなあ。
以上!
何か異論反論あったらご意見いただけると有り難いです。
by renaart | 2005-05-27 13:08

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