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地球を楽園にする芸術家・増山麗奈のブログ

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画家・ジャーナリスト・映画監督の増山麗奈が社会×アートを取材発信します!

【サザン桑田謝罪で改めてリスペクト 忌野清志郎の反骨精神】

【サザン桑田謝罪で改めてリスペクト 忌野清志郎の反骨精神】_c0046559_14295117.jpg大晦日の紅白歌合戦で、ヒットラーのようなちょび髭をつけて出演し「ピースとハイライト」を熱唱したサザン・オールスターズの桑田佳祐の行動が戦争へと進む政権批判かと話題になった。年越しライブで今上天皇から受け取った勲章をジーパンのポケットから取り出す行動も問題視された。

 桑田氏の行動に対し、右翼団体員30名ほどが所属事務所前で「反日的だ」と抗議のデモを行う一方、「憲法改正議論や集団的自衛権行使容認が起きている現状の日本をしっかりと考えさせられる曲」と共感の声も多い。NHKオンデマンドでの紅白再放送では桑田氏のシーンのみカットされて放送された。

桑田氏は所属事務所アミューズから「紅白での演出に他意はない」「配慮が足りなかった」と謝罪・説明文を発表。東京FMでは『ピースとハイライト』は集団的自衛権が問題になる前に作られた曲であり、受け取り側の誤解であると発言した。

 組織に配慮した桑田氏の“大人な対応”を見ていて、かつて音楽界で最大のタブーだった原発にNOをつきつけた忌野清志郎のことを思わずにはいられない。

【桑田氏も収録に参加した脱原発ソング入りアルバム】

  88年、チェルノブイリ事故の2年後、日本でも食品にセシウムが入っているのではと話題になっていたころ、RCサクセションというバンドボーカル忌野清志郎はある原発反対ソングを発表した。今でも反原発デモなどで流され、長く人々に愛される「原子力はいらねえ。電力は余ってる」と叫ぶ「サマータイムブルース」と「巧みな言葉で一般庶民をだまそうとしたが」「核などいらねえ」と訴える「ラブミーテンダー」だ。
  この二曲が入った洋楽のカバーアルバム「COVERS」は原発メーカーである東芝のグループ会社東芝EMIから発売予定だったが「すばらしすぎて発売中止になりました」という新聞広告とともに、発売中止。その後「COVERS」はキティレコード(現ユニバーサルミュージック)から発売され、RCサクセションの中では唯一チャート一位を獲得した。 実はこのアルバムの収録には、桑竹居助の偽名にてサザンオールスターズの桑田佳祐も参加している。
 
  「サマータイムブルース」は、東京FM系列の放送局では放送禁止とされた。そこで忌野清志郎は政治的主張する覆面バンド「タイマーズ」を結成。広島の平和コンサートに出演したり、テレビの音楽番組で「東京FM腐ったラジオ!何でもかんでも放送禁止さ。」なとシャウトするなどその暴れっぷりは痛快の一言だ。



  タイマーズはその後東芝EMIから正式にデビューして皮肉たっぷりに原発推進を伝える「原発音頭」(笑)を発表。喧嘩した相手ともユーモアを交えてつながっていく人間力もあっぱれである。
 忌野清志郎はわずか58歳でがん性リンパ管症によってこの世を去ってしまった。

 生涯にわたって愛と平和を歌った忌野清志郎は、実は趣味で油彩を500点も描いていた。
 手製の衣装やレコードジャケット、キャンバス画などが200点弱が兵庫県宝塚市の手塚治虫記念館「忌野清志郎展~手塚治虫ユーモアの遺伝子~」(2015年2月20日(金)まで)で展示されている。
http://www.city.takarazuka.hyogo.jp/tezuka/4000020/4000044.html
曲のイメージデッサンや、ファンには見せなかった闘病中の自画像、娘への暖かいまなざしを感じる肖像画など、丁寧に人生と向き合った人間・清志郎の魅力が感じられる展示だ。

2/10(Tue)からはライブ映像がたっぷり収録された
映画『忌野清志郎 ロックン・ロール・ショー The FILM ~#1 入門編~』が全国上映される。
http://www.kiyoshiro.co.jp/schedule/index.html#2

腰を据えて政治的な問題に対峙する表現者が少ない今、忌野清志郎のことを知らない世代にも反骨精神をつきとおしたアーティストが日本にいたということを知ってもらいたい。桑田氏には仮名をつかってでも忌野清志郎と「COVERS」を制作したときの熱い想いを思い出してほしい。終戦から70年の今年、反戦平和を訴えるサザン覆面バンドを結成し、本気を見せてくれたら最高なのだが。
by renaart | 2015-01-20 13:29

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