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地球を楽園にする芸術家・増山麗奈のブログ

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画家・ジャーナリスト・映画監督の増山麗奈が社会×アートを取材発信します!

LGBT当事者の方との意見交換会

2月2日(火)LGBTの方々と意見交流会を東京で行いました。


急な呼びかけにも関わらず、3名の当事者の方から貴重なお話を聞かせてくださいました。
本当にありがとうございました。
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皆さんのお話を聞かせていただく中で、LGBTの事を今まで知らなかったけれど、ひょっとしたら、自分にもその傾向があるのではないかと告白してくださった方もいました。

男性を好きになるということに悩みながら、その状況を奥さんに受け入れてもらいながら、結婚、子育てを行い、教師として働き、暮らしてこられた男性Mさん。
女性として生まれ、自身の性別が男性である事を悩み、23歳で性転換手術を受け、戸籍とお名前を男性名に変え、飲食店で働くAさん。
女性として生まれ、女性として暮らしながら、生まれながら両方の性別を持っておられるBさん。
一口でLGBTといっても、多様な方がいらっしゃることを改めて学びました。

電通ダイバーシティ・ラボの「LGBT調査2015」によると、
LGBTを自認する人は全体の7.6%。13人に一人の方が、LGBTを自認しており、「初恋の相手が実は同性だったな」などの経験を含めると、潜在的にはもっと多い可能性もあります。

「生まれながらの性別」 「ご自身が感じる自分自身の性別」  「好きになる対象の性別」 があり、
①男性として生まれ、自分自身で男性と感じ、女性を好きになる
②男性として生まれ、自分自身で男性と感じ、男性を好きになる
③男性として生まれ、自分自身で男性と感じ、男性も女性もすきになる


④女性として生まれ、自分自身で女性と感じ、男性を好きになる
⑤女性として生まれ、自分自身で女性と感じ、女性をすきになる
⑥女性として生まれ、自分自身で女性と感じ、男性も女性も好きになる
という方の他に
⑦男性として生まれ、自分自身で女性だと感じ、男性を好きになる(MTF Man toFemale)
⑧男性として生まれ、自分自身で女性だと感じ、女性を好きになる(MTF Man toFemale)
⑨男性として生まれ、自分自身で女性だと感じ、男性も女性も好きになる

⑩女性として生まれ、自分自身で男性だと感じ、女性を好きになる (FTM Female to Man)
⑪女性として生まれ、自分自身で男性だと感じ、男性をすきになる (FTM Female to Man)
⑫女性として生まれ、自分自身で男性だと感じ、男性も女性もすきになる

という方、
⑬また生まれながらにして、両方の性をもっておられる、もしくはどちらの性別だと判別しにくい方
その方々も、自身が認識する性 好きになる性 がそれぞれ違います。

みなさん、思春期の時代に、学校やご家庭にもなかなかその事を伝えられず、悩む事が多いのだとおっしゃっていました。職場でも、インターネットを通じてLGBT当事者であることばばれそれが噂となり駅で通りすがりに心ない言葉で知らない人にからかわれた、という体験を語ってくださった方もいました。

男性として生まれ、自身を男性だと感じ、男性を好きになる42歳のMさんは、教師として働いていた事もあったとのことですが、教育の現場におけるLGBTへの理解が無い事を憂いていました。
「教師が、軽い気持ちで「ホモだ」などと冗談でいうたびに、傷ついていました。あれから20年がたっても、教育現場の意識は変わっていません。教育の現場で、相談窓口や、教師に対するLGBTについての配慮、教育が必要」(Mさん 塾講師 42歳)
自分自身のアイデンティティを育んでいく大事な時期に、自らを否定したり隠したりしながら暮らすのはとても大変な事だと教えていただき、教育現場、社会全体で理解をすすめていきたい、と感じました。

【愛する人を看とれない絶望】

Mさんのご友人で、20年一緒に暮らしていた同性のパートナーが、ご病気で亡くなられたときに、生前ほぼ絶縁状態になっていたご家族が現れ、遺品を全て持っていき、葬儀にも参列できなかった男性がいるというお話もおききしました。現在日本では同性婚が認められていないので、病院で危篤状態になったときなどに、家族として病室に入れないという問題もあります。
「実際血のつながった家族よりも深く信頼し合っていたパートナーを看とれない、お葬式にも参列できないというのは本当に惨い事なんです」(Mさん)LGBTの問題は生きる尊厳を奪われる、人権問題なのだと改めて教えていただきました。

「テレビに出ているゲイの方などは、本当に才能のあるキラキラした人達です。LGBTというとそういう方を想像される方が多いと思いますが、ほとんどのLBGT当事者の方は日々を一生懸命働き普通に暮らす人。LGBTに対する政策が、そういう普通の人達が、暮らしながら感じている生きづらさや尊厳を奪われるようなことを、少しでも減らすものになって欲しいと願っています」(Mさん)

【性転換手術と戸籍の性別変更】

小さな頃から、ボーイッシュで、自分自身が女性である事に違和感を感じ、23歳で性転換手術を受けられたAさん(28歳 飲食店勤務)は、その後名前を変え、戸籍の性別を変えました。オシャレで清潔感があり、今時のかっこいい若者という印象です。若くして、自分の人生を切り開いていく行動力に感銘を受けました。

戸籍の性別を変えるためには、子宮を卵巣を摘出することが必要になり施術病院で施術医師の証明書を裁判所に提出するそうです。日本国内にも、性転換手術を行う病院はありますが、順番待ちで予約が埋まっていることと、費用が高額になるので、タイで手術を受ける方が多いそうです。Aさんもタイで手術を受けました。
手術費用は80万円ほどだったそうです。月に1000円ほどの保険適応の費用で男性ホルモンの投与を行っています。
手術後、後遺症がないことなどをタイの病院で証明してもらわないと、日本に帰国できないことが、ガイドラインで決められているため、手術を受けたまま日本に帰国できない方もいるそうです。
個人差があるものの、性転換手術には、更年期障害が急にやってくる、ホルモンバランスが崩れる、男性ホルモン投与によって、薄毛になりやすいなど後遺症のリスクが伴います。

「幸い、自分はほとんど後遺症は、ありませんでした。それよりも女性としての身体で生きていく事が辛すぎた。あのままでは生きていく事ができない、そのぐらい切羽詰まった気持ちだったんです。胸が膨らんでいくのがいやで、いつもさらしを巻いたり、スポーツ用のブラで胸をつぶしないと外出できませんでした」(Aさん)



【同性婚世界の潮流】

LGBT当事者の方々のデモやパレードなどが全世界で行われ、
2000年以降、世界中の多くの国で同性婚が認められはじめています。

2001年 オランダで同性婚が認められる
2002年 スペイン カナダ
2013年 フランス、ウルグアイ、ブラジル、ニュージーランド
2015年 ルクセンブルグ、アイルランド、アメリカ全米

また、日本では昨年より、世田谷区、渋谷区で同性のパートナー同士を結婚に相当する関係と認める
「パートナーシップ証明書」や「パートナーシップ宣誓書受領証」の発行を行っています。
携帯電話の会社では、同性パートナーの家族割りサービスも始まっています。

日本が様々な生き方、家族の形がありのままに認められるやわらかい社会になってほしいと願っています。



by renaart | 2016-02-05 03:18 | LGBT

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