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地球を楽園にする芸術家・増山麗奈のブログ

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画家・ジャーナリスト・映画監督の増山麗奈が社会×アートを取材発信します!

「春の雪」と酉の市

昨晩はルーツをたどる旅でした。

新宿は花園神社のお酉様でにぎわっており、保育園でも道ばたでもみんないつもより少し華やいだ雰囲気でした。やーさんもホステスも皆、商売繁盛を願って、花園神社で熊手を買いにくるのです。そう、昨日は一の酉だったのです。
一年で一度だけ、見世物小屋のへびをむしゃむしゃ食らうお姉様達がくる日です。
私は宗教は特定のものは信じていないけど、どーもお酉様だけは毎年いかなきゃ、年を越せないような気がしてるんだよね。私も歌舞伎町の売れないホステスだったころから、なんだかんだと7年近くほぼ毎年通っている。そこでは毎年いろんなドラマがあった。ゴールデン街で朝まで飲んで好いた男の足にまとわりついたり、エロ映画監督の家に泊まりにいったり。子供にかくれて不倫デートしたり。いろんな出会いと別れがありました。どうも花園のお酉様のあの鳥居の下には、人生を狂わす何かが渦巻いているような気がするのよね。唐十朗のテント芝居もあそこから始まったし。私を育んでくれたジャパニーズ・アングラとは何ぞや。新宿って日本の超都会だけど、こう言う土着的なお祭りが生きている、不思議なコミュニティがあるのです。
ダーリンを誘うとつれない返事がかえってきたので、にゃんをつれていざ、GO。

焼きそばやトウモロコシを買った後、前から見たかった映画「春の雪」を新宿文化シネマで見る。
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水曜日はレディースデーで、映画は1000円なのだ!
三島由紀夫にも恩がある。21歳ぐらいの時失恋して、もう死んでしまおうと房総の冬の海に向かっている電車の中、私が読んでいたのが三島由紀夫の豊穣の海・第一部「春の雪」だった。目的の駅についても、ストーリーとその妖艶な文体に飲み込まれて、最後の一ページまで読んでから、海に潜ったんだよね。「とりあえず最後まで読んでから死のう。」あの装丁の美しかった昭和に出された「春の雪」単行本は、波打ち際の岩の上に置きっぱなしにしてしまった。海からかえってきた私の命と引き換えに、あの本はおそらく波に飲み込まれていまごろ海の底に居るのだと思う。お母さんが学生の頃買ったと言う大事な本だったのに悪かったなあ・・。
そんな訳で、私は「春の雪」には頭が上がらないので、最近はケチって滅多にいかなかった映画館まで行ってしまったという訳。

どことなく現代風にアレンジされた映像と音楽の中、大正着物や部屋の装飾が美しい。はかない桜も、命懸けで愛する心も、ああこれこそニッポンの美。そして竹内結子は演技以前に、肌と表情が綺麗!妻夫木聡の前半の「若さ故に思い上がった熱い情熱と狂気を秘めた目」などもなかなかエロく熱演でした。宮様役のミッチーがどうも場違いだったような気もするが。大正時代の戦争へ向かう中の上流階級のみなさんの耽美で自分勝手な価値観がわかって面白いですぞ。当時の天皇家の存在のでかさ、とか。しかし2時間半はちと長く、中だるみしてたな。感動は原作には遠く及ばず。でもこの際、豊穣の海4部作、全部映画化してほしいなあ・・・。
嫌いなフジ産経グループが後援しててもいいさ!三島が右翼のシンボルでもいいよ、豊穣の海なら!見に行っちゃうよ!
でも公家や華族のみなさんって、ほーんと働かないんだね。労働って下品なんだろーね。劇中、散歩と恋愛ばかりしています。優雅なもんだ。
by renaart | 2005-11-10 11:10

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